筆文葉の紙とインクの相性

〈水玉罫〉


ノート(紙製品)を手に入れると、まず気になるのは、万年筆で快適に書けるかどうかです。水性インクを入れて使う万年筆は、ボールペンと違い、紙によっては裏抜け 1 や滲みが起こることがあるので、最初に相性を確認しておきたいところです。(もちろんペン先に繊維が絡まないかとか、筆記感が好みかどうかも大事ですね 😉 )

私の手持ちのインクの中で、これまでの経験から紙を選ぶことが多いなと感じているものを取り上げて、実際に書いた様子をご紹介いたします。入れる万年筆の字幅などにも左右されますが、ご参考までに。

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J.HERBIN Vert Réséda

エルバン モクセイソウグリーン

この半年ほどで私が最も使っているインクです。システム手帳とは別に、あるノートを使い終えて後継を決めようとしたら、まあ滲むわ抜けるわ、ノート選びにかなり手こずった経緯がありまして、筆頭に登場してもらいました。

ペンはアウロラ88の極細(EF)、リフィルは〈吹き寄せパック/風物のデザイン〉の木目です。

どうでもごまかせるのでは??と疑いたくなるような裏面ですね(汗)。

今回のことで初めて気がつきましたが、罫線がインクを弾くこともないようです。

Rohrer & Klingner Verdigris

ローラー&クライナー ヴァーディグリーズ

エルバンほどではありませんが、これもわりと紙を選ぶなあという印象のインクです(一通り試し書きすると、エルバンと一緒に仲良く?裏抜けする感じ)。

ペンはペリカンM805の極細(EF)、リフィルは〈方眼罫3mm〉です。

こちらも白紙であるかのような裏面。

なんともいえずニュアンスのある、魅力的な色です。

PILOT 色彩雫 躑躅

パイロット iro-shizuku つつじ

色彩雫シリーズもなんとなくフローが良好な印象で、細字に入れている場合でも、書き出しやタメのところで滲むのが気になることがあります。

ペンはパイロットデスクペンの極細(EF)、リフィルは〈吹き寄せパック/風物のデザイン〉スクランブル罫です。

躑躅というインクの、色の再現の難しさに兜を脱ぎました……。

もう少しピンクが控えめなのですが、力及ばず。明るさもまちまちですね……。

補足

裏抜け、滲み、書き心地だけでなく、乾きの早さも紙質の重要なポイントです(筆文葉はシステム手帳リフィルなのでなおさら)。インクの出をよくした太字の万年筆で走り書きしたらちょっと難しいかもしれませんが、少なくとも私が使っている万年筆では裏移り 2 したことはありません。上のサンプルはいずれも、書き終わる頃にはインクはほとんど乾いていました(最後の1〜2字を除いて)。

もちろん吸取り紙を挟んでいただくのが磐石ですが、早く次の見開きへ進みたいのにじれじれと待たされる、というようなことはないと思います。

各種スタンプインキ

ここからはおまけです。スタンプインキは油性顔料のものが多く、掠れないようにと思ってしっかりつけて捺印すると、時間の経過とともに浸潤してくることがあるんですよね……。手加減の問題もありますが、私の所有するスタンプを捺してみました。

リフィルは〈切り取り一筆箋〉です。

水彩絵の具

私が絵が好きなこともあって、筆文葉をスケッチブックのように楽しんでいただけたら嬉しいなという気持ちがあるので、水彩絵の具についても試してみました。リフィルは〈水玉罫〉です。

水張りせずにいきなり筆で塗ったので紙にうねりが生じていますが、裏面に抜けたりはしていません。何度も塗り重ねれば抜けるのは避けられないにしろ、これなら安心してお使いいただけると思います。滲みがほとんどないので、和紙に描いたときのような雰囲気は出にくいですが、使い分けていただければ幸いです。

本当はアルコールマーカー(コピック®の類)もご紹介できると良かったんですが 3 、残念ながら所有していないので、いずれ機会がありましたら。

それでは、次回もよろしくお願いいたします。


  1. 【裏抜け】紙の裏側までインクが浸透してしまうこと。両面に書きたいのに残念な気持ちに。本稿では裏抜けすることを「抜ける」と表現することがあります。 
  2. 【裏移り】インクが乾ききっていない上から新しく紙を重ねることで、上の紙の裏側に下のインクが付着してしまうこと。もとは印刷用語。 
  3. 2018/12/01追記/この記事を書いたあと Pen and message. のお店でコピックをお借りする機会がありまして、ちょっと書いてみたらバッチリ裏抜けしました。紙はアルコールには勝てませんね……