「デジタルカレンダー」と「紙の手帳」の役割を考える

「デジタルカレンダー」と「紙の手帳」の役割を考える

さも「手帳といえば紙」というような顔(?)をしている筆者ですが、パソコンやスマホはわりと好きな方で、機能や運用を調べたり試したり、も楽しくやっております。

デジタルカレンダーも紙の手帳も使いこなしたい!という欲からいろいろ試行錯誤した末の、自分なりに「こんな感じで行けるかな」と考えるところをご紹介したいと思います。スクロールの指がつりそうな長文になってしまいましたので、暇で仕方がないというときに少しずつお読みください。

全く違う道具として使う

わかりきった話のようですが、私は長いこと、なんとかデジタルと紙の手帳を同期(=両方に同じ情報を反映)しようと頑張ったのです。デジタルは検索用、紙は保存用と考えたからですが、あまりに煩雑すぎて不可能と悟りました(え、遅い?)。以来私はこの2つを「完全な別物」と割り切って、細かい比較もすっ飛ばして、「それぞれが圧倒的に得意なこと」を探しました。その結論が以下です。

デジタルカレンダーの強み

  1. 自動処理
  2. 他者との共有

紙の手帳の強み

  1. 閲覧性
  2. 時間感覚・不確定要素との親和性

もちろん他にも数えきれない特性がありますが、スケジュール管理という目的を考えたときの核心はここではなかろうかと。実に抽象的すぎてわかりにくいので、具体的にご説明します。

デジタルカレンダーが得意なこと

(1) 自動処理

コンピューターですから、これは真骨頂でしょう。メリットは大きく2つ。ひとつは入力の手間が省ける 1 こと、もうひとつはリマインダー(ど忘れ防止)機能が使えることです。カレンダーの通知機能を使えば、予定の”前日”や”1時間前”など、思い出さねばならないタイミングでアラームを出すことができます。さらに、住所を正しく入れれば地図アプリと連動できる、などもコンピューターならではですね。

私は主に、定期的に繰り返す予定と、ネットで調べた電車の乗換の所要時間・経路 2 を保存するのに使っています。友人の誕生日なども入れておくと、忘れずにメッセージを送れるので重宝します。

(2) 他者との共有

会社や学校などの組織に属し、かつ、課やゼミなどのチームで予定を進める体制に有効です。

デジタルのカレンダーは、予定の種類ごとにグループ分けをして、さらにそのグループごとに公開/非公開を設定できます。自分宛に公開されたカレンダーを参照すれば、自分自身のカレンダーと混ぜることなく、組織や他メンバーの予定を同じ画面上で見られるというわけです。管理職や指導教官の立場にある方は、予定の多くが関係者の都合で自動的に決まりますから、他者との情報共有はもはや必須の機能かもしれません。

紙の手帳が得意なこと

(1) 閲覧性

過去の予定を並べて照らし合わせたり、文章をさかのぼって読むのには、紙の方が向いています。そういう観点から、あとあと読み返す可能性が高いものは紙の手帳に書く方が使いやすいようです。

予定の有無はデジタルのカレンダーに入れ、何が必要でいつまでに手配して費用はいくらで……などの段取りや、感想や反省などは紙に書く、と使い分けるのが、いまの私にはしっくりきています。

(2) 時間感覚・不確定要素との親和性

これは私個人の身体的な感覚に基づくものなので、単なる一つの意見としてお読みください。

紙の手帳は、自分が書かなければなにも形になりません。また書くためには、(とくに文字種の多い日本語の場合はそこそこ複雑な)手指の動きを体に覚えさせる必要があります。これは慣れるのに時間がかかることであり、「すぐに結果が出ない」というじれったさを伴います。コピペや一瞬の処理で豊富な情報を表示できるデジタルに比べ、一見すると不利にも思えます。

しかしこのじれったさに耐えることが、「ある程度の長期の時間」に対する粘り強さを、少しずつ養うように感じます。また、紙に書くことはデジタルに比べて、文字の大きさも向きも形も配置も、圧倒的に自由度が高いです。このことは、手書きが「まだ不確定なことがらを扱う」のに強いことを表しているような気がします。

紙の手帳は、まだ海のものとも山のものともわからないものを形にする、具体的には「長期的な計画を具体的に立てること」「新しい発想を必要とすること」に適するというのが私の実感です。それもあって筆文葉の〈3つ折りカレンダー〉は、最長で再来年の予定まで検討できるようにデザインしております(と唐突に宣伝)。


ものすごく乱暴に例えるなら、デジタルカレンダーは「予定の管理を任せる秘書またはマネージャー」、紙の手帳は「一緒に考える、あるいは思い出を語り合う相棒または友人」という感じでしょうか。どちらも仕事、あるいは人生になくてはならない存在といえましょう。とはいえ道具との付き合い方に正解などありませんので、機嫌よく、できれば快適に、長く付き合っていければそれが理想の姿です。

2017年も暮れが押し迫ってきました。この一年、個人の趣味で疾走した長文ブログにお付き合いいただきありがとうございます 😉

それでは、次回もよろしくお願いいたします。


  1. コピペはもちろん、ある予定(例えば毎週月曜日の朝礼会議など)を”繰り返し設定”したり、メール記載の日時から自動判定して予定を取り込んだりできます。恐ろしくも便利な機能です。 
  2. 最近の乗り換え検索サービスでは「カレンダーに保存」という機能がついているものが多いです